ラスカー賞の日本人受賞者一覧|2026年最新の受賞者と受賞内容をわかりやすく解説

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医学・生命科学の分野で世界的に高い評価を受けている「ラスカー賞」。ノーベル生理学・医学賞につながる重要な賞としても知られ、これまで多くの著名な研究者が受賞してきました。

日本人研究者もこれまで数多くラスカー賞を受賞しており、2026年には新たに4人の日本人研究者が受賞者となりました。

2026年のラスカー賞では、筑波大学の柳沢正史氏がオレキシンの発見に関する研究で基礎医学研究賞を受賞。さらに、中外製薬の服部有宏氏、北沢剛久氏、井川智之氏の3人が、血友病A治療薬につながったバイスペシフィック抗体の発明で臨床医学研究賞を受賞しました。

この記事では、ラスカー賞とはどのような賞なのか、日本人の歴代受賞者には誰がいるのか、それぞれどのような研究・業績で受賞したのかを詳しく解説します。

ラスカー賞とは?

ラスカー賞は、アメリカのアルバート・アンド・メアリー・ラスカー財団によって贈られている医学・生命科学分野の国際的な賞です。

1946年から授与が始まり、基礎医学、臨床医学、公共奉仕などの分野で大きな功績を挙げた研究者や団体などを顕彰してきました。

ラスカー賞は、単に過去の業績を評価するだけではありません。

病気の原因を明らかにする基礎研究、新しい治療法につながる医学研究、医学・公衆衛生の発展に貢献した活動など、将来の医療にも大きな影響を与える研究が評価されます。

そのため、ラスカー賞は世界の医学研究者にとって非常に重要な賞の一つとされています。

京都大学もラスカー賞について「世界で最も権威のある科学賞の一つ」と説明しており、過去の受賞者から多数のノーベル賞受賞者が出ています。

2026年のラスカー賞で日本人4人が受賞

2026年のラスカー賞で特に注目されたのが、日本人研究者4人の受賞です。

基礎医学研究部門では、筑波大学の柳沢正史氏がエマニュエル・ミニョ氏とともに受賞しました。

受賞理由は、「覚醒を維持する脳内ペプチドであるオレキシンの同定」と、オレキシン不足がナルコレプシーの異常な眠気・睡眠を引き起こすことの発見です。

さらに臨床医学研究部門では、中外製薬の研究者である服部有宏氏、北沢剛久氏、井川智之氏が受賞しました。

受賞対象となったのは、血友病Aの治療に使われるバイスペシフィック抗体の発明です。

つまり2026年は、睡眠という身近なテーマから、血友病という難病の治療まで、日本の研究者による幅広い医学研究が世界的に評価された年となりました。


2026年ラスカー賞受賞者・柳沢正史氏とは?

柳沢正史氏は、睡眠や覚醒のメカニズムを研究してきた医学・生命科学分野の研究者です。

2026年のアルバート・ラスカー基礎医学研究賞では、アメリカのエマニュエル・ミニョ氏と共同で受賞しました。

最大の功績は、オレキシンの発見です。

オレキシンは、脳内で働く神経ペプチドの一種です。

この物質が覚醒状態の維持に重要な役割を果たしていることが明らかになったことで、睡眠と覚醒の仕組みを理解するうえで大きな進展が生まれました。

ラスカー財団によると、柳沢氏は機能が未知だった細胞タンパク質を出発点として研究を進め、動物を覚醒状態に保つシグナル系を明らかにしました。さらに、オレキシンが不足するとナルコレプシーにつながることが示されました。

オレキシンとは何か?

オレキシンは、簡単にいうと**「起きている状態を維持するために重要な物質」**です。

私たちは夜になると眠り、朝になると目を覚まします。

この睡眠と覚醒の切り替えには、脳内のさまざまな仕組みが関係しています。

オレキシンは、その中でも覚醒を安定させる役割を持っています。

オレキシンの働きが失われると、起きている状態を安定して維持することが難しくなります。

その代表例がナルコレプシーです。

この発見は睡眠医学に大きな影響を与えました。

また、オレキシンの仕組みを利用した医薬品開発も進み、睡眠障害の治療研究にもつながっています。ラスカー財団は、オレキシン受容体を遮断する薬が不眠症治療に使われていることや、逆にオレキシン受容体を活性化する薬の開発が進んでいることを紹介しています。


2026年ラスカー賞受賞者・服部有宏氏、北沢剛久氏、井川智之氏

2026年のラスカー~デベーキー臨床医学研究賞を受賞したのが、服部有宏氏、北沢剛久氏、井川智之氏です。

3人はいずれも中外製薬の研究に携わった研究者です。

受賞理由は、血友病Aの治療に大きな変化をもたらしたバイスペシフィック抗体の発明です。

血友病Aとは?

血友病Aは、血液を固めるために必要な「血液凝固第VIII因子」が不足することで、出血が止まりにくくなる遺伝性疾患です。

従来の治療では、第VIII因子を補充する方法などが重要な治療手段となっていました。

しかし、この治療にはさまざまな課題がありました。

そこで研究者たちは、第VIII因子そのものを補うのではなく、第VIII因子の働きを別の方法で代替するという新しい発想に取り組みました。

その成果として生まれたのがバイスペシフィック抗体です。

バイスペシフィック抗体とは?

「バイスペシフィック」は「二重特異性」を意味します。

簡単にいえば、異なる2つの標的に同時に結合できる抗体です。

中外製薬の研究チームは、第IX因子と第X因子を橋渡しすることで、血液凝固反応を進める仕組みを考えました。

第VIII因子が不足していても、別のルートで血液凝固反応を進めることを狙ったわけです。

この研究から生まれたのがACE910で、後のエミシズマブです。

中外製薬によると、研究チームは活性型第IX因子と第X因子を適切な位置・角度でつなぐバイスペシフィック抗体を研究し、ACE910を創製しました。さらに、商業生産に向けて抗体エンジニアリング技術も開発しました。

エミシズマブが血友病A治療に与えた影響

エミシズマブは、血友病Aの治療体系に大きな変化をもたらしました。

中外製薬によれば、エミシズマブは第VIII因子に対するインヒビターの有無を問わず出血予防効果が期待でき、皮下注射で投与できることや投与間隔を延ばせることなどから、患者や家族の治療負担軽減にもつながっています。

このように、ラスカー賞では「新しい発見」だけでなく、その発見が実際の患者の治療にどう結びついたかという点も重要になります。


日本人の歴代ラスカー賞受賞者

日本人のラスカー賞受賞者は2026年の4人だけではありません。

これまでにも、日本の医学・生命科学を代表する研究者が数多く受賞しています。

代表的な受賞者として、花房秀三郎氏、利根川進氏、西塚泰美氏、増井禎夫氏、遠藤章氏、山中伸弥氏、森和俊氏などが挙げられます。

そして2026年に、柳沢正史氏、服部有宏氏、北沢剛久氏、井川智之氏が加わりました。

ここからは代表的な日本人受賞者について、それぞれの受賞内容を見ていきます。


花房秀三郎氏|1982年

花房秀三郎氏は、1982年のラスカー賞を受賞した日本人研究者です。

ウイルスとがんの関係を研究し、がん研究の発展に大きく貢献しました。

花房氏の研究は、ウイルスが細胞の性質を変化させ、がん化を引き起こす仕組みの理解につながる重要なものでした。

日本人研究者が世界的な医学研究賞で評価される先駆けの一人といえる存在です。


利根川進氏|1987年

利根川進氏は1987年にラスカー賞を受賞しました。

利根川氏の代表的な業績が、抗体の多様性がどのように生まれるのかを解明した研究です。

人間の体内では、非常に多くの異なる病原体に対応するため、多様な抗体を作る必要があります。

では、限られた遺伝情報から、なぜこれほど多くの種類の抗体を作ることができるのでしょうか。

利根川氏の研究は、この謎を遺伝子レベルで明らかにしました。

その後、利根川氏は1987年のノーベル生理学・医学賞も受賞しています。


西塚泰美氏|1989年

西塚泰美氏は1989年にラスカー賞を受賞しました。

細胞内で情報を伝達する仕組みの研究で知られています。

特に、**プロテインキナーゼC(PKC)**に関する研究は、細胞が外部からの刺激をどのように受け取り、内部で反応するのかを理解するうえで重要でした。

細胞内シグナル伝達研究の発展に大きく貢献した研究者として知られています。


増井禎夫氏|1998年

増井禎夫氏は1998年にラスカー賞を受賞しました。

細胞周期の制御に関する研究で知られています。

細胞がどのように分裂し、増殖していくのかを理解することは、発生や再生だけでなく、がん研究においても重要です。

増井氏の研究は、細胞周期を制御する仕組みの理解に貢献しました。


遠藤章氏|2008年

日本人のラスカー賞受賞者として特に有名なのが、遠藤章氏です。

遠藤氏は2008年のラスカー~デベーキー臨床医学研究賞を受賞しました。

受賞理由は、スタチンの発見です。

スタチンは、血液中のLDLコレステロールを低下させる薬です。

現在では高コレステロール血症などの治療で広く知られています。

遠藤氏は微生物が作り出す物質を調べ、その中からコレステロール合成に関わる重要な酵素を阻害する物質を発見しました。

この研究が、その後のスタチン系薬剤の開発につながりました。

ラスカー財団は、遠藤氏の発見したスタチンについて、LDLコレステロールを低下させ、冠動脈疾患の予防・治療を大きく変えた医薬品として評価しています。


山中伸弥氏|2009年

2009年には、山中伸弥氏がラスカー賞を受賞しました。

受賞対象となったのは、iPS細胞につながる核初期化研究です。

山中氏の研究は、成熟した細胞を初期化し、さまざまな細胞へ分化できる状態に戻すことを可能にするiPS細胞の研究として世界的に知られています。

ラスカー財団は、山中氏とジョン・ガードン氏について、特殊化した成人細胞を初期の幹細胞のような状態へ変える「核のリプログラミング」に関する研究を評価しました。

その後、山中氏は2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

このことからも、ラスカー賞が医学研究の将来を先取りする賞として注目される理由が分かります。


森和俊氏|2014年

2014年には、京都大学の森和俊氏がピーター・ウォルター氏とともにラスカー基礎医学研究賞を受賞しました。

受賞テーマは、**小胞体ストレス応答、いわゆる「アンフォールドタンパク質応答(UPR)」**に関する研究です。

細胞内で作られるタンパク質は、正しい立体構造に折りたたまれる必要があります。

ところが、何らかの原因で正しく折りたたまれないタンパク質が増えると、細胞に負担がかかります。

細胞はこうした異常を感知し、タンパク質の品質を維持するための仕組みを働かせます。

森氏らの研究は、この細胞内の品質管理システムを明らかにするうえで重要な役割を果たしました。

ラスカー財団は、森氏とウォルター氏について、小胞体で異常なタンパク質を検知し、細胞核にシグナルを送って対応する細胞内品質管理システムの解明を評価しています。


2026年の日本人受賞はなぜ注目されるのか?

2026年のラスカー賞が日本で大きな注目を集める理由の一つは、4人の日本人研究者が一度に受賞したことです。

柳沢正史氏は基礎医学研究の分野で、睡眠・覚醒の仕組みを大きく進展させました。

一方、服部有宏氏、北沢剛久氏、井川智之氏は、血友病Aの治療という臨床医学に直結する研究で評価されました。

つまり、

「生命現象の基本的な仕組みを解明する研究」

「患者の治療を変える医薬品につながる研究」

の両方で日本人研究者が評価されたことになります。

これは日本の医学・生命科学研究の幅広さを示す出来事ともいえるでしょう。


ラスカー賞とノーベル賞の関係

ラスカー賞を語るうえで欠かせないのが、ノーベル賞との関係です。

ラスカー賞の歴代受賞者には、その後ノーベル生理学・医学賞などを受賞した研究者が多数います。

そのため、ラスカー賞はしばしば「ノーベル賞の前哨戦」と表現されることがあります。

もちろん、ラスカー賞を受賞したからといって必ずノーベル賞を受賞するわけではありません。

しかし、医学研究において世界的に大きなインパクトを持つ研究が評価される賞であることは確かです。

日本人では、利根川進氏や山中伸弥氏など、ラスカー賞とノーベル賞の両方を受賞した研究者もいます。


ラスカー賞は日本の医学研究にとってどんな意味がある?

ラスカー賞の受賞は、個々の研究者だけでなく、日本の医学研究全体にとっても大きな意味があります。

医学研究は、成果が出るまでに長い時間がかかることがあります。

基礎研究では、研究を始めた時点では将来どのような治療につながるのか分からないケースも少なくありません。

しかし、オレキシン研究やiPS細胞研究、細胞内品質管理の研究などを見ると、一見すると非常に基礎的な研究が、後になって病気の理解や治療法の開発につながることがあります。

遠藤章氏のスタチン研究もその代表例です。

微生物が作る物質を調べるという基礎的な研究が、世界中で使用される医薬品の開発につながりました。

2026年の血友病A治療に関する受賞も、基礎的な抗体研究と医薬品開発が結びついた例といえます。


今後も日本人のラスカー賞受賞者は増える?

日本には、医学、生命科学、薬学、分子生物学、再生医療などの分野で世界的な研究を続けている研究者が数多くいます。

2026年には4人の日本人が新たに受賞したことで、これまで以上にラスカー賞への関心も高まっています。

特に、iPS細胞、がん免疫、遺伝子治療、再生医療、感染症、神経科学、創薬などの分野では、今後も世界的な研究成果が生まれる可能性があります。

ラスカー賞を理解するうえでは、単に「誰が受賞したか」だけを見るのではなく、なぜその研究が評価されたのか、その研究が現在の医療にどうつながっているのかを見ることが重要です。


まとめ|ラスカー賞の日本人受賞者は世界の医学研究を変えてきた

ラスカー賞は、世界の医学・生命科学研究を代表する国際的な賞の一つです。

日本人研究者も長年にわたって受賞しており、花房秀三郎氏、利根川進氏、西塚泰美氏、増井禎夫氏、遠藤章氏、山中伸弥氏、森和俊氏など、多くの研究者が世界的な医学研究に貢献してきました。

そして2026年には、さらに4人の日本人研究者が加わりました。

柳沢正史氏は、エマニュエル・ミニョ氏とともにオレキシンの発見と睡眠・覚醒のメカニズムの解明でラスカー基礎医学研究賞を受賞しました。

また、服部有宏氏、北沢剛久氏、井川智之氏は、血友病Aの治療に革命をもたらしたバイスペシフィック抗体の発明でラスカー~デベーキー臨床医学研究賞を受賞しました。

2026年の受賞は、日本人研究者が基礎研究から創薬まで幅広い領域で世界の医学に貢献していることを改めて示す出来事となりました。

今後、ラスカー賞を受賞した日本人研究者の研究がどのように医学を発展させていくのか、そして次のノーベル賞につながる研究が生まれるのかにも注目が集まりそうです。

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